採用課題解決

2026.09.08

物流業界の人手不足はなぜ深刻?原因と解決策・企業が取り組むべき対策を解説

物流業界の人手不足はなぜ深刻?原因と解決策・企業が取り組むべき対策を解説

「求人を出してもドライバーが集まらない」「繁忙期になると倉庫の人員が足りず、既存スタッフに負担が集中してしまう」——物流業界に携わる方であれば、こうした課題に直面した経験があるのではないでしょうか。

物流業界の人手不足は、一時的な景気変動によるものではなく、少子高齢化やドライバーの高齢化、EC市場の拡大、いわゆる「物流の2024年問題」など、複数の要因が重なって生じている構造的な課題です。そのため、求人を出し続けるだけでは根本的な解決に至らないケースも少なくありません。

この記事では、物流業界で人手不足が起こる原因と、放置した場合に生じるリスク、そして企業が実践できる具体的な対策を解説します。あわせて、物流倉庫のように物量の波が大きい現場で重要となる「必要なときに人材を確保できる仕組み」についても紹介します。

物流業界では人手不足が深刻化している

物流業界における人手不足は、近年になって急に発生した問題ではありません。経済産業省・国土交通省・農林水産省がまとめた「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、トラックドライバーが不足していると感じている企業の割合は、約10年前の2014年時点ですでに53%と半数を超えていました。つまり、10年以上前から慢性的な人材不足が続いている状況といえます。

トラックドライバーの人手不足

道路貨物運送業では、必要な人材を確保できない状態が長く課題となっています。背景の一つが、EC市場の拡大による輸送形態の変化です。かつての企業間輸送中心の体制から、個人宅への小口・多頻度配送への対応が求められるようになり、同じ荷物量でもドライバー一人あたりの作業工程が増えやすくなりました。

さらに深刻なのが、ドライバーの高齢化です。物流業界では中高年層が現場を支えている割合が高く、ベテランドライバーの退職が進む一方で、若年層の入職は十分に進んでいません。この世代交代がうまくいかなければ、輸送体制そのものの維持が難しくなる可能性があります。

物流倉庫の人手不足

人手不足はドライバーだけの問題ではありません。物流倉庫では、荷受け・検品・ピッキング・梱包・仕分け・出荷といった多くの工程があり、それぞれに人手を必要とします。庫内作業は「荷物を運ぶ人」だけで完結するものではなく、幅広い役割の人材が揃って初めて回る仕組みです。

加えて倉庫業務には、物量の波という特有の難しさがあります。セール時期や季節要因、取引先の出荷計画によって必要な人員数が大きく変動するため、繁忙期に合わせて人材を確保しようとすると採用が追いつかず、閑散期に合わせると繁忙期に対応できないというジレンマが生じます。結果として、既存スタッフが残業や休日出勤で穴を埋める状況に陥りやすくなります。

物流業界で人手不足を引き起こす5つの原因

物流業界の人手不足には、業界特有の事情と社会全体の構造変化が複雑に絡み合っています。ここでは主な5つの原因を整理します。

1. 少子高齢化によって労働人口が減少している

最も根本的な要因が、日本全体の生産年齢人口の減少です。働き手の総数が減っている以上、物流業界だけが従来どおりの人数を確保し続けることは容易ではありません。

しかもこれは物流業界だけの問題ではなく、飲食・小売・介護・製造など、あらゆる業界で同時に起きている現象です。限られた働き手を各業界が奪い合う構図となっており、人材獲得競争は年々激しさを増しています。

今後も労働人口の減少が見込まれる以上、「採用を強化する」だけに頼らない人手不足対策が求められる段階に入っています。

2. ドライバーの高齢化が進んでいる

トラックドライバーは、全産業平均と比較して中高年層の割合が高い傾向にあります。長年現場を支えてきたベテランドライバーが高齢化し、定年や体力面の理由で順次引退していく一方、その穴を埋める若年層の確保は十分に進んでいません。

この状態が続けば、退職者数が入職者数を上回り、人手不足はさらに加速します。将来的な担い手を確保するためにも、若年層が「働いてみたい」と思える労働環境の整備や、採用活動そのものの強化が急務となっています。

3. 長時間労働・身体的負担などのイメージがある

物流業界には「労働時間が長い」「身体的な負担が大きい」というイメージが根強く、求職者から敬遠される要因となっています。

実際、ドライバーの業務は運転だけではありません。荷待ち時間や荷役作業が発生する場合もあり、拘束時間が長くなりやすい構造があります。倉庫業務でも、仕分け・ピッキング・重量物の運搬など、身体を使う仕事が一定の割合を占めます。

こうしたイメージを変えるには、採用人数を増やす取り組みだけでは不十分です。労働時間の適正化・業務効率化・機械による省力化などを通じて実際の働きやすさを高め、それを求職者に正しく伝えていく必要があります。

4. EC市場の拡大などによって物流需要が変化している

EC市場の拡大に伴い、宅配便の取扱個数や物流現場に求められる対応は大きく変化しました。個人宅への小口配送、多頻度配送、時間指定への対応などが当たり前になり、配送・仕分け・ピッキングといった各工程の負担が増えやすくなっています。

同じ売上規模でも、扱う荷物の「個数」と「作業工程」が増えれば、必要な人手も増えます。ここで人を増やすだけの対応を続けると、人件費の上昇採用難という二重の壁に突き当たります。そのため、物流業務の効率化や自動化による生産性向上を同時に進めることが欠かせません。

5. 「物流の2024年問題」の影響がある

2024年4月から、自動車運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。これにより、ドライバーの労働時間を従来以上に厳格に管理する必要が生じています。

これまで長時間労働に依存して成り立っていた輸送体制は、そのままでは維持できません。同じ輸送量を確保するには、より多くの人員を確保するか、業務効率を高めて一人あたりの生産性を上げるかのいずれかが必要になります。この規制対応によって輸送能力の不足が懸念される状況が、いわゆる「物流の2024年問題」です。

物流業界の人手不足を放置するリスク

人手不足は「現場が少し忙しくなる」程度の問題にとどまりません。放置すると経営そのものに影響を及ぼします。

1. 既存スタッフの負担が増加する

人手不足の状態が続くと、一人あたりの業務量が増加し、残業時間の増加や休暇の取りにくさにつながります。負担が集中するのはドライバーだけではなく、仕分け・ピッキング・梱包などを担当する倉庫スタッフも同様です。

そして最も避けたいのが、過度な負担による離職の連鎖です。負担増加によって退職者が出ると、残ったスタッフの負担がさらに重くなり、また退職者が出るという悪循環に陥ります。人手不足は、放置すると自己増殖する性質を持っている点に注意が必要です。

2. 配送遅延やサービス品質の低下につながる

必要な人員を確保できなければ、荷物の仕分けや出荷、配送といった各工程に遅れが生じます。また、一人あたりの業務量が増えることで、誤出荷や商品の取り違えといったヒューマンエラーも発生しやすくなります。

配送の遅れやミスが続けば、エンドユーザーの満足度が下がるだけでなく、荷主企業や取引先からの信頼を損なうおそれもあります。物流品質は取引継続の判断材料にもなるため、人手不足が取引そのものに影響するリスクを認識しておく必要があります。

3. 売上機会を逃す可能性がある

人手が不足すると、対応できる物量に上限が生まれます。「受注を増やしたいのに、処理できる人がいないから増やせない」という状況です。

特に繁忙期には、十分な人員を確保できず、新規案件や追加の依頼を断らざるを得ないケースも起こり得ます。市場に需要があっても人手不足によって対応できなければ、それはそのまま売上拡大の機会損失です。必要なタイミングで必要な人材を確保できる体制づくりは、コスト対策であると同時に売上対策でもあります。

EXPERT COMMENT

専門家のコメント – 現場で実際に起きている深刻なリスク

弊社に寄せられるご相談で最近非常に多いのが、「派遣会社の値上げ要求」に加え、「タイミーなどの大手スキマバイトアプリへの過度な依存による利益圧迫・現場疲弊」です。
物流倉庫はスキマバイトと非常に相性が良いため、近年多くの企業が導入を進めています。しかし、手軽だからと使い続けると、「毎回初めましてのワーカーが来るため、現場の社員がイチからルールを教える教育係になってしまい疲弊する」「どれだけ優秀な人がリピートしてくれても、永続的に30%の手数料を搾取され利益率が悪化する」という新たなリスクに直面します。
外部プラットフォームに集客を依存しすぎることは、長期的には経営の首を絞めることになりかねません。

物流業界の人手不足を解消する7つの対策

ここからは、企業が実際に取り組める対策を7つ紹介します。「採用を強化する施策」と「今いる人材で回せるようにする施策」を組み合わせることがポイントです。

1. 給与・福利厚生などの労働条件を見直す

人材を確保するうえで基礎となるのが労働条件です。給与・休日・勤務時間、福利厚生などを見直し、働きやすい環境を整えることが出発点になります。

その際は、自社基準だけで判断せず、周辺地域や同業他社の求人条件と比較することが重要です。「自社としては十分な水準」と思っていても、求職者は複数の求人を並べて比較しています。

また、給与額だけが判断基準ではありません。年間休日の確保、柔軟な勤務体系、休憩スペースや空調環境の整備など、長く働き続けられる環境づくりも同じくらい重視されます。

2. 採用方法・求人内容を見直す

求人媒体に掲載しているのに応募が集まらない場合は、採用チャネルと求人内容の両方を疑ってみる必要があります。

求人検索エンジン・SNS・自社の採用サイト・求人広告など、複数の手段を組み合わせて求職者との接点を増やしましょう。一つの媒体だけに依存していると、そこにいない層には自社の存在すら届きません。

求人原稿の内容も重要です。給与・勤務時間といった条件面だけでなく、具体的な仕事内容・職場の雰囲気・キャリアパスなどをわかりやすく伝えることで、入社後のミスマッチによる早期離職を防げます。

3. 女性・シニア・外国人など多様な人材を採用する

従来の採用ターゲットを見直すことも、有効な人手不足対策です。女性・シニア・外国人など、幅広い人材が働ける環境を整えることで、応募母数そのものを増やせます。

そのためには、受け入れ側の体制整備が欠かせません。短時間勤務や柔軟なシフトの導入、重量物運搬の機械化などを進めれば、これまで「体力面で難しい」と敬遠されていた層にも門戸を開けます。

なお、外国人を採用する場合は、在留資格によって従事できる業務の範囲が異なります。制度を正しく確認したうえで受け入れることが前提です。

4. 教育体制を整えて定着率を高める

採用と同じくらい重要なのが、定着率の向上です。せっかく採用しても短期間で辞めてしまえば、採用コスト教育工数だけが積み上がっていきます。

まずは業務マニュアルや研修制度を整備し、新人がスムーズに仕事を覚えられる環境をつくりましょう。OJTの進め方を標準化しておけば、教育担当者によって指導内容や品質に差が生じることも防げます。

あわせて、定期的な面談などを通じて現場の不満や課題を早期に把握することも大切です。離職の理由は退職時に初めて語られることが多いため、その前に拾い上げる仕組みが必要になります。

5. 業務フローを見直して無駄な作業を減らす

人を増やす前に、今の業務に無駄がないかを点検することも重要な対策です。二重入力・紙での記録・不要な移動や待ち時間など、時間を消費しているだけの作業は少なくありません。

倉庫内のレイアウト・作業動線・商品の配置を見直すだけでも、作業時間を短縮できる可能性があります。よく出荷する商品をピッキングしやすい位置に配置するといった改善は、コストをかけずに実施できます。

また、業務を標準化し、特定の従業員しか対応できない属人化を減らすことも意識しましょう。属人化した業務は、その担当者が欠けた瞬間に現場が止まるリスクを抱えています。

6. 倉庫管理システム・ロボットなどで省人化する

WMS(倉庫管理システム)、ハンディターミナル、AGV・AMRといった搬送ロボットなどを導入し、人が行っている作業の効率化・自動化を進める方法もあります。

入出庫・在庫管理・ピッキングなどをデジタル化すれば、作業時間の短縮と人的ミスの削減が同時に期待できます。搬送のような単純・反復作業をロボットに任せられれば、従業員を判断や管理が必要な業務へ配置しやすくなります。

ただし、最初からすべてを自動化しようとすると投資額が膨らみ、現場も混乱します。人手不足が深刻な工程や、負担の大きい作業から優先的に導入することがポイントです。

7. スキマバイト・スポットワークを活用する

繁忙期や急な欠員など、一時的に人手が必要な場面では、スキマバイト・スポットワークの活用も選択肢になります。

必要な曜日・時間帯に合わせて人材を確保できるため、常に余裕を持った人数を雇用する場合と比べ、人員配置を柔軟に調整しやすい点がメリットです。閑散期に人件費が固定費として重くのしかかる状況を避けられます。

特に、仕分け・ピッキング・梱包といった業務内容を標準化しやすい倉庫作業とは相性が良い方法です。ただし、初めて現場に入るワーカーが短時間でも業務を進められるよう、わかりやすいマニュアルや教育方法を事前に整備しておくことが成功の条件になります。

EXPERT COMMENT

専門家のコメント – マイチームによる物流倉庫の成功事例

物流業界における「人材確保の二層構造」を、自社専用アプリ『マイチーム(myteam)』を使って実現し、大成功を収めた物流倉庫の事例があります。
その企業は、お中元やお歳暮、ECの大型セールなどの「強烈な物量の波」に対し、タイミー等の大手スキマバイトアプリをフル活用していました。しかし、膨大な手数料と教育手間に限界を感じ、マイチームを導入。
大手アプリ経由で来てくれた中で「働きぶりが良かった優秀なワーカー」に絞って直接声をかけ、自社のマイチームアプリへ100名規模で招待(プール化)しました。
結果、セールで物量が跳ね上がった際は自社アプリから一斉募集をかけるだけで、すでに業務を知っている即戦力のリピーターが瞬時にシフトを埋めてくれるようになり、外部に払っていた高い手数料を半減(30%→15%)させながら繁忙期を乗り切ることに成功しています。

物流倉庫の人手不足対策では「必要なときに人材を確保できる仕組み」も重要

物流倉庫の人員計画を難しくしているのは、必要な人数が常に一定ではないという点です。曜日・時間帯・季節セールやキャンペーンなどによって物量は大きく変動します。

ここで繁忙期に合わせて正社員や長期アルバイトを増やす方法を選ぶと、二つの問題が生じます。一つは、採用に時間がかかり、必要なタイミングに間に合わない可能性があること。もう一つは、閑散期に人員が余り、固定人件費が経営を圧迫することです。

かといって、最低限の固定人員だけで運営すれば、物量の急増や急な欠員が発生した際に既存スタッフへ負担が集中します。前述のとおり、これは離職の連鎖を招く危険な状態です。

そこで有効なのが、固定人員に加えてスキマバイト・スポットワークなどを組み合わせ、必要な日時に必要な人数を確保できる体制を整えるという考え方です。ベースとなる人員は直接雇用で確保しつつ、変動分を柔軟に補える仕組みを持っておく。この二層構造ができていれば、繁忙期や急な欠員にも慌てずに対応でき、安定した倉庫運営につながります。

コストを抑えて人材採用を実現するならタイミーに「myteam(マイチーム)」を併用するのがおすすめ

タイミーのようなスキマバイトアプリの利便性を享受しつつ、デメリットである「高い手数料」と「人材の非定着」を解決するソリューションが、株式会社グレフが提供する「マイチーム(myteam)」です。

myteamとは?

myteamは「スポットワーカーの管理システム」です。

  • 循環型採用の実現: 一度きりの接点で終わらせず、OB/OG、退職者、一度働いてくれた優秀なワーカーと繋がり続ける仕組みを作ります。
  • 外注コストを約50%削減:タイミーなどの外部サービスを介さず直接マッチングするため、利用手数料を大幅に抑えられます。

主な機能とメリット

スポットワーカーの管理:ポスターやQRコードを通じて、自社専用のアプリに登録を促します。平均登録率は90%と非常に高く、スムーズに人材プールを構築できます。

採用・管理工数の大幅削減:求人掲載から勤務管理、給与計算、即時支払いまでシステムが自動

まとめ

物流業界の人手不足は、少子高齢化による労働人口の減少、ドライバーの高齢化、業界イメージ、EC市場拡大による需要変化、そして物流の2024年問題といった複数の要因が重なって生じている構造的な課題です。放置すれば既存スタッフの負担増加、サービス品質の低下、売上機会の損失といった形で経営に跳ね返ってきます。

対策としては、労働条件や採用方法の見直し、多様な人材の受け入れ、教育体制の整備といった「採用・定着」の取り組みと、業務フローの改善やシステム・ロボットによる省人化といった「効率化」の取り組みを、両輪で進めることが重要です。

そのうえで、物量の波が大きい物流倉庫では、固定人員だけに頼らず、必要な日時に必要な人数を確保できる仕組みを持っておくことが安定運営の鍵になります。スキマバイト・スポットワークの活用は、その現実的な選択肢の一つです。

手数料を抑えながらスキマバイトを活用し、優秀なワーカーを自社の戦力として蓄積していきたい場合は、自社専用スキマバイトアプリ「myteam」の導入もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

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